ミニマリスト・デスクセットアップの究極ガイド
ゲーミングチェアとオフィスチェアの違い、1日6時間座って決めた話

ゲーミングチェアとオフィスチェアの違い、1日6時間座って決めた話

カテゴリー1. 機能的人間工学 (Functional Ergonomics) 公開日

壊れた椅子と、二択の悩み

長時間座ることで起きる肩こりや腰の痛みは、今の時代よく聞く悩みだと思うし、正直、自分も長らくその一人だった。ちょうど使っていた椅子が壊れたタイミングで、次に何を買うか決めなければならなくなった。見た目がクールで、身体をしっかり包み込んでくれる「ゲーミングチェア」にするか、価格差がかなり大きいうえに、機能性を前面に押し出した人間工学ベースの「オフィスチェア」にするか。しばらく決められずにいた。

キーボードを打つとき、体は自然に前へ傾く

調べる前に知らなかったのは、そもそも椅子を選ぶ基準そのものが、作業の姿勢によって変わるという点だった。機能的人間工学(Functional Ergonomics)の観点で言うと、キーボードやマウスに集中しているとき、人の体は自然に前へ傾く。つまり「どちらの椅子が優れているか」ではなく、「自分がどの姿勢を長時間取るか」が先に決まるべき問いだった。

根本的に、設計の出発点が違う

調べていくと、ゲーミングチェアとオフィスチェアは、根っこの設計思想がまったく別物だとわかった。

ゲーミングチェア人間工学オフィスチェア
ルーツレーシングカーのシートデスクワーク向けの動的サポート
形状肩の両側が前方に突き出て体を包み込む背もたれが平らで肩が自然に開く
素材質感の良いPUレザーや高密度スポンジ、こもりやすい長時間でも蒸れにくい高テンションメッシュ
サポート取り外し式クッションで首・腰を補助脊椎のS字に合わせて動く腰当てとヘッドレストを内蔵
リクライニング180度近くまで倒せる連動式に加え、上位モデルは前傾チルトをロック可能

座面や背もたれの形状も、ゲーミングチェアの方がコンパクトで曲線的な傾向がある。リクライニングが深いのは仮眠まで想定した設計だという解説もあり、多くの比較記事でも、だいたい同じ整理がされていた。特に「前傾チルト」は、姿勢矯正グッズを調べているときにも何度も出てきた発想で、長時間キーボードを打つときに体が前へ傾く姿勢に、そのまま対応させる機能だ。

決め手になったのは、コーネル大学の一文だった

ネットでレビューを漁っていると、最初はゲーミングチェアの見た目や宣伝文句に惹かれて買ったものの、長時間の文書作業では首が浮いた状態になったり、肩が内側に押し込まれて深刻な筋肉疲労を感じるようになった、という声がかなり多かった。逆に、ハイエンドの人間工学オフィスチェアはサポート性は抜群でも、見た目が単調で価格が高いという声もある。この2つの意見だけでは、自分の「長時間座る」というニーズに本当に合うのがどちらなのか、正直判断がつかなかった。

調べを進める中で、コーネル大学の人間工学研究室(Cornell University Ergonomics Web)の資料に、判断の決め手になった一文があった。独立した腰椎サポートがなく、肩の両側を前に包み込むような椅子の設計は、上半身の細かな動きを制限してしまい、不自然な猫背姿勢、いわゆるC字型の脊椎を助長しやすいという指摘だ。これによって椎間板への圧力が大幅に増すという。人間工学オフィスチェアは、動的な腰当てと前傾できる座面によって骨盤を中立に保ち、坐骨にかかる圧力を分散してくれる。

結局、どっちを選んだか

数日かけていろいろ調べたうえで、結局は自分がどんな使い方をするかで決めるべきだという結論に落ち着いた。1日の作業時間が長い自分の使い方を踏まえて、最終的に人間工学オフィスチェアを選んだ。

もし1日の過ごし方がゲームパッドを使って後ろにもたれて遊んだり、動画を見たりすることが中心で、デスク周り全体をゲーミングな雰囲気で統一したいなら、ゲーミングチェアは十分に良い没入感を与えてくれるはずだ。ただ、毎日6時間を超える前傾姿勢での文書作業やプログラミングが続くなら、蒸れにくいメッシュと動的な腰サポートを備えた椅子選びのほうが、集中力を保ちながら脊椎への負担を長期的に避ける近道になると、今は感じている。

ゲーミングチェアとオフィスチェアの違い、1日6時間座って決めた話